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執筆者の写真しずか 平岡

明日もしたいと思う仕事をなぜ辞めたのか

更新日:2023年8月1日

渇く。教員になって最初に味わった感覚です。日々の生活に忙殺され、学びのアップデートができない時期が続きました。私は「渇き」を忘れないように、意識的に学びの機会を求め続けました。2019年に経済協力開発機構(OECD)が実施した「国際教員指導環境調査」によると、日本の教員の勤務時間は48カ国中最長であることがわかっています。また、昨年度文科省が実施した「教員実務実体調査」によると、中学校教諭の36.6%が過労死ラインを超えているといいます。日本の学校教師は、教師の本分を全うできずに、肉体的、精神的に削られている傾向にあります。私は、子どもたちが安心して学校生活を送るためには、教師の働き方改革が急務だと考えています。


東日本大震災やパンデミックを経験する中で、子どもたちの人生、ひいてはいのちそのものを支える教育とは何かを問い直すようになりました。当初は、海外の大学院で教育経営学(教育行政・学校経営)の修士号を取得することを考えていましたが、「国家国民の物心一如の真の繁栄をめざす基本理念を探究」する松下政経塾にて、教育にとどまらず幅広く学びたいと思うようになりました。入塾の際に「教員を辞めて後悔はしないか」と尋ねられました。この質問に対して明快な答えは出せません。大切な生徒たちと別れることには、さびしさや申し訳なさがあります。しかし、辞める覚悟を決めなくては、忙しい毎日に溺れ、日本の教育の課題を解決することはおろか、疑うこともせずに惰性で仕事を続けることになっていたと思います。大人社会のひずみが、子どもの個性、夢や希望を奪うことのないように、一人ひとりのいのちが大切にされる社会の実現を目指します。


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